このKTVのGRO(ホステス)は全員 店の2階に住込み 海外派遣待ち状態
昼間の外出は必ず二人以上でと 個人行動は厳禁
ボイストレーニングをしながら 3人一緒に韓国に行く日を待っていた
ところが 歌の上手い日本興行の経験がある一人だけ 昨年の10月にソウル入り
もう一人は 1年待っても実現しない海外興行を諦め ミンダナオの実家に帰った
セシル1人が がんばって残っている
行く先は韓国ではなく日本に変更 店から興行ビザで行くのは彼女が始めての福岡
ソウルに行ったら 韓国人ボーイフレンドを驚かすんだと楽しみにしていたのに
その彼とは5ヶ月前から音信不通になり 彼との事はもう半分諦めている
韓国興行ビザなら2年間 日本なら6ヶ月間 それも1回限り
興行中は 客のチップが頼みの 月給400ドル
そして 外国でも今と同じ 不自由な籠の鳥の生活
将来は歌って踊れる小さな店を持つため 店の経営ノウハウを実地に学ぶという目標を立てているセシルだから 自由のない毎日でも我慢している
店に行く前に 店のシステムを彼女からの携帯メール で知らされていた
レディスドリンク 275ペソ 30分から40分毎に追加しないと ずっと隣には居られない
店にはペディキャブで来てというので 表通りから100メートルの距離を乗り
店の前につけると 店の隣から 近所のおばさんといった風情の普段着の女性が
遊んでいきませんかと 日本語で声を掛けてくる 言われなくても 今入るところ
ドアをあけて入るとセシルが待っていた 外のおばさんが 店のママだと紹介された
9時前 客はまだ誰も居ない 女の子達は一団となってカラオケを歌っている
隣に座った彼女 気を使って いつまで経っても目の前のLD 減る様子がない
外国行きのプロモーターをしている チイママの指図で
LD追加しないならと 店の女の子全員に50ペソのビールを出すことをOKさせられた
チイママにも ビールを出し 同席することにしたり
セシルがキャッシャーに立ったり
1年も待機している先輩として 新入GROに歌い方のアドバイスしたり
3時間隣に座っていても 絶えず周りを見て 時々席を立って動き回っている
この店の主要客筋は 近くの魚市場の仲買人と船員(シーマン)
隣のシートに居る常連の3人の市場仲買人は全員妻帯者とのこと
中の1人がニコニコしながら 私の顔を 穴の開くほど見つめている
女の子は呼ばず ビールとカラオケ1曲歌って 3人分350ペソを払って帰って行った
子猫ほどの大きなネズミが テーブル脇の通路を サッと横切ったかと思うと
同じテーブル脇の通路で ゴキブリが3匹 同時に踊っている
シーマン2人は大声でしゃべることもなく LDを取り4人で静かに飲んでいる
いつの間にかチイママが同席して離れない なぜかチイママとママだけは普段着
チイママとセシルと3人で座って居る時 ママが挨拶に来たので 前に座ってもらった
歌が得意 ビサヤ語も英語も話せて キャッシャーもこなせる
彼女目当ての客もいる 頭の切れるセシル 店にとっては重宝な存在だと思う
セシルの日本行き待機が 長過ぎではないかと
目の前のママとチイママに 店内に響く声で まくし立てた
日本興行ビザは下りているが 受け入れ先との調整に時間がかかっていると言う
プロモーターと店の都合など 言われても こちらも わかるはずも無い
キスも濃密タッチもバーファインも ダメダメづくしの 場末住宅街ローカルKTV
妙に静かな時を過ごしていると 12時前にセシル指名の2人組みが入って来た
彼女が席を立ったのを機に会計してもらう
9時前から12時前まで居て 1230ペソ ということは 店規定通りのLD4杯分と同じ
外には長く居られないとか 扉は開けたままとか とにかく規則のオンパレード
外国人の一見客では 仕方ありません
街中の店なら ドアの外に必ず付いているガードマンが
住宅街にポツンと建っている この店にはいない
通りの交通機関 ペディキャブも この時間では 待っても通らない
人通りが無い夜道 体全体をセンサーにしつつ ホテルへ戻った
半年前の7月に会った時の様子