彼女の希望した、待ち合わせ時刻は、午後3時
それから先の展開は、未知数
分かっているのは、携帯使用料にも事欠いている 一方で
ドラッグストアーで買物が出来るお金は持っている。
身なりも悪くない。色っぽいメールもくれた。
まず会って、話を聞かないことには
あれこれ期待しちゃうのは、 ・・・・・ これは、やむを得ない
部屋から、確認メールを 待ち合わせ時刻の、30分前に送る
「 3pm、SM 1階のコーヒーショップ、来れる?」
「 サー SM行くのに ノーマネー、でも興味あるし、逢いたい 」
「 7ペソ都合しておいで、後で払うから。 もし良ければ、あなたの仕事あるよ 」
「 OKサー 行きたい、 私の問題はノーマネー 今電話ください お願い 」
電話すると、ものすごい雑音、ジプニーの中のようだ。
「 何時に来れる 」
「 時計持ってないから、分からない 」
「 今、3時10分前だよ 」 運転手に、何分でSMに着くか聞いている
「 あと10分で行く 」
「 OK 10分後に SMから電話するから 」
こちらも、急いで腰を上げなくては。
私は店の名前を知らないので、今は1階としか、場所を伝えられない。
10分後、店からメールする
「 この店の名前言えば、案内所でわかるから 」
やっと 第一関門 クリアー
これから会うってのに、お金が無い、お金が無いと、言ってくるのは
やっぱり ・・・・・・ どういうことよ ?
金さえ払えば・・・・・・ なのかなあって
待ち合わせ時刻から、20分しか 遅れずに メールが来た
「 サー 店の外にいます。出て来てもらえますか 」
なぜ 入って来ない?
会計して、店の外に出ると
あーあ 二人来ちゃってる。 昨夜の無言メール、イヤな予感が当たった。
ガックリ は、おくびにも出さず
「 おなか空いてない? まずは、2階のフードコートに行こう 」
100ペソずつ渡して、「 好きなもの取って来なさい。 私は要らないから 」
ハンバーグライスとミネラルを買ってきて、ゆっくり、静かに食べている。
「 あっ これ おつりです 」
仕事あるよ とメールした手前もあるし、いろいろ聞くからね
歳 二人とも20代前半で同い年
家族 二人とも、子供一人、母親と同居
夫 一人は殺された 一人はセパレート
関係 3ヶ月前に知り合った友人同士、部屋をシェアーしている
前職 町は違うが、二人とも 大手ショッピングモールの 店員
こんだけ、聞けば 次は こちらの番
「 仕事というのは、私のコンドで通いのメードか、私の滞在中のガイド 」
( よく言うよ )
「 あのー 私たち来週 リヤドに働きに行くんです 」
「 んっ んっ リヤド? サウジアラビアの 」
「 なんで それ 先に言わないの 」
「 言いそびれました 」
「 じゃあ、今日は、これからどうしようか? 」
最初っから、イヤにおとなしい二人、こちらの問いに、静かに答えるばかり
これが リゾート地 サバンだったら、
「 ビール買って、部屋で盛り上がろうよ 音楽かけてダンス! 」
( フンっ 飲めないくせに )
出国前の不安状態なのか、金の心配なのか、 ・・・・・???
「 まあ、私の部屋に来なさい、すぐそこだから 」 ( アンタあ どうする気ヤ )
歩いて行く途中、二人はメールしてる。
家にいる母親と、逐一コンタクトしているに違いない。
ゲートで、二人にチェックが入る。
当然のように、自分のIDをガードマンに、預けてしまう二人。
「 この部屋 家賃 いくらなんですか 」
「 月 2万ペソ 」
「 はあー 私たちのサウジの月収と同じ 」
部屋に入っても、二人は、借りてきた猫 状態。
3ヶ月前に、同じプロモーター事務所で知り合い、来週、同じ職場に向け、
二人出国する。
職場はサウジで商品にシールを貼る工場、フィリピン人20人が、
同じ工場で働いている。
海外出稼ぎは今回が初めて、2年間契約 休日は週1日
二人で助け合えるのが、幸いだ。
二人を近くのジプニー乗り場まで送っていき、100ペソずつ渡して帰した。